2015年3月7日土曜日

人の眼の凄さ

ルイ・ヴィトン・ファンデーションの全景をカメラのフレームに納める為に、どんどんとブローニュの森の中に入っていく。エントランスから随分と遠く離れないとどうしても画面に納まりきらない。しかし今度は建物の前に多くの木が被ってしまう。困ってしまう。

そんな時「人の眼」の不思議に驚かされる。

木々で隠れてしまう建築の姿。写真におさめると一体何が写っているのか分からなくなってしまう。しかし実際にその場に経って、建築を見ようと思うと、木々がそこにあるのだが、眼が補正をして建物の全景を捉えることができる。

恐らく実際に見えているのは部分であるのだろうが、微妙に角度を変えることで見えてくるその後部の建築の姿を、様々なイメージから切り取りながら、頭の中で「結ぶ像」としては完結した建物の姿を作り出しているのだと想像する。

同じ様に高い建物から街並みを見下ろしたときに、カメラでは一点に焦点を当てると、どうしても他の部分がブレてしまう。人の眼も基本は同じ構造で複数に焦点を当てることはできないのであろうが、それを脳の中で補正しながら、あたかも全てに焦点が当たっているかのような像を頭の中で作りだす。

「脳」の働きと絡み合いながら求める像を描き出す、非常に優れた器官である「人の眼」の凄さに改めて感心する。

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