2015年3月28日土曜日

「人にいえない仕事はなぜ儲かるのか?」 門倉貴史 2005 ★

都会で生きていると、「この人の職業はいったい何なんだろう?」とか「この人の収入源は一体何なんだろう?」と首を傾げたくなる人にたまに出会うことになる。得てしてそういう人は、相当な生活水準を保っており、到底普通のサラリーマンをしていたらできないようなレベルの生活をしている。

「親の遺産があって、家賃収入があるらしい」とか、
「株で相当な資産をなしているらしい」とか、
「立ち上げた飲食があたって、何店舗も展開している」とか、

比較的分かりやすい理由なら納得できるが、いかにもその範囲に入らない人、それでいて夜な夜な街に繰り出しては誰かと飲んでおり、朝方にタクシーで優雅に帰っていく。一般社会の住民の雰囲気からは程遠く、何か裏があるのでは・・・と思ってしまう。

利権と言うものが大きければ大きいほど、人はそれを他の人に見えないようにしたいものである。それが他の誰かの手に渡るのを恐れるために、自分がその地位を失うのを恐れるために、ひっそりとできるだけ目立たずに社会の闇の奥底に潜んでいる。

そんな闇の仕事がどれだけの規模で我々の社会の中に存在し、勤め人という大多数の社会の構成要因の視線から見えない金の回り方があるということを闇の奥深くまで侵入してきて暴きだす。そんなことを期待していたがやはりというか、これも統計的なデータを振りかざし、「支出税」という新しい形の直接税を提案することによって、社会の不公平感をなくそうと言う主張に留まる。

その主張の根拠となるのは、今流行りのピケティの言うように、「現行の所得税の元では資産をすでに保有しているものはますます豊かになり、貯蓄によってこれから資産を形成していこうとするものはそれがしにくくなっているのであり、その結果、貧富の差がますます大きくなっていくことになる」ということらしいので、これは現代を生きる経済を生業とする人々にとっては基本的な問題意識なのだと改めて認識する。

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■目次  
/さおだけ屋はじつは違法スレスレの裏ビジネスか
/さおだけ屋にはクーリング・オフが適用されない

第1章 野球選手はなぜ個人会社をつくるのか
/あなたが知るべき税金の仕組み
/お給料から引かれる税金の種類
/野球選手が個人会社をつくる理由
/大学教授の講演料のカラクリ
/タダのサラリーマンはどう節税したらいいのか

第2章 長者番付に載る人、載らない人
/長者番付は信用できるか
/長者番付に載る人
/長者番付に載らない人
/長者番付に載らないようにするための裏技
/海外で申告して長者番付から逃げる
/確定申告を遅らせる

第3章 サラリーマンの副業はどれだけ有利か
/サラリーマンが副業する理由
/海外では副業は認められいるか
/副業と資産運用
/副業で成功する人のパターン
/生活のパターンを買えずに収入増を目指す
/副業は本業にしない
/副業の経費と税金
/サラリーマンも落とせる経費は増やせる
/減価償却費を最大限活用する
/副業での稼ぎを会社にバレないようにするために
/副業が会社にバレる仕組み

第4章 会社はどれだけ社員と国にお金を払っているか
/社会保険は会社と折半
/奥さんには厚生年金を払わせてはいけない
/副業をはじめたら社会保険はどうなるのか
/福利厚生はどこまでが義務なのか

第5章 税金を払わなくていい仕事の種類
/ビール業界と国との過酷な攻防
/合法エスと違法エステの違い
/サービス業は脱税額が大きい
/何が起きてもOKのハプニング・バー
/風俗店は何故儲かるのか
/税金を払っていないと思われる、人に言えない仕事の主役たち
/万馬券を申告しないと罪になるか

第6章 地下ビジネスの担い手たち
/地下ビジネスの実態
/風俗ソフト・サービスの半分はモグリ営業か
/違法ドラッグの密売はなぜビジネスとして成立するのか
/ルイ・ヴィトンのニセモノ販売で生み出される巨額の利益
/海外にある地下工場
/あとを絶たない野鳥の密猟・密売ビジネス
/新たなビジネス・チャンスを見つけることに長けた闇勢力
/不良債権と税金
/顔写真入のビラを配布
/「振り込め詐欺」の背後関係
/地下ビジネスで稼ぎ出されたお金の行方

第7章 先進各国の税体系
/日本の所得税の最高税率は世界一高いか
/お金持ちに硬い税金をかければ経済の活力が失われる
/税の不公平感と国家の責任
/税金をむしりとる前に「クロヨン」の是正を
/地下経済を税収増に結びつける方法
/税金を払わないビジネスの横行で国家財政が破綻する

第8章 どのような税制が最も望ましいか
/所得税は永遠ではない
/消費に対して課税をするという考え方の妥当性
/「支出税」にあるたくさんのメリット
/スポーツ選手にとっても「支出税」は魅力
/「支出税」では政府の経済政策の効果も大きい
/残る実行可能性の問題

終章に変えて
/くるべき大増税時代に備えよう
過去10年間「ジャンル別」長者番付リスト
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