2014年8月2日土曜日

ハラ ミュージアム アーク 磯崎新 1988 ★★


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所在地  群馬県 渋川市金井
設計   磯崎新
竣工   1988
機能   美術館
規模   地上1階
延床面積 2,675平米
構造   木造
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東京にある原美術館の分館としてバブル真っ盛りの時期に広大な群馬の自然の中に建てられた美術館。車でアクセスしていくと、その道すがらに多くのゴルフコースが開発されているのが見て取れるように、バブル経済の波を受けて、大都市圏から週末への人の流れを作ろうとする流れの中で、文化系の受け皿をという意図があったのだろうかと勝手に想像する。

伊香保グリーン牧場の敷地の一部に建てられたこの建物。そのイメージどおり、周囲は榛名山の裾野の広大な草原が広がる敷地である。都市の中の中に建てる建築とは全く設計の考え方を変えなければいけない。

如何に自然に向き合うか。
如何に外部空間との関係性を作り出すか。
如何に都市の中ではできない建築を作るか。

そんなことが考えられたのは想像に難くないが、このプロジェクトで選ばれたのは、正方形の上にピラミッド型の屋根を乗せた方形屋根(ほうぎょう)。独立した展示区間として一番ニュートラルな空間となる正方形を採用し、方向性を与える壁面の開口部を採用せず、すべて上部に設けられたピラミッド型のトップライトから太陽光を室内に導く。

周囲ののどかな風景に溶け込むために採用されたこの方形屋根。それが大小ことなるサイズの大きさを持ち風景にリズムをつけていく。都市の中では建築物はとにかく「燃えない」ことが大切で、どんどんとかつての木造の日本家屋の風情は失われてきたが、建築を行っているとどうしても外壁に木を使いたくなることがある。その時に立ちはだかる建築基準法の規定。

それが都市を離れることにより規制から外れることで可能になる木の表現。そこで焼き杉の風合いを思わせるように、黒く塗装を施された外壁の杉板。正方形に杉板の外壁、宝形屋根という極めて原始的な家の形を持ってきて、その上にガラスのピラミッドを載せることで、現代建築として纏め上げる。

そんな建築についての考察なんか、どうでも良いと感じてしまうほど圧倒的な開放感と心地よさの感じられる敷地と、建物外部を展示に取り込んだ配置で、気持ちの良い芝生の上を歩きながら屋外展示のオブジェを散策する妻の姿を見ながら、改めて自然の力強さを感じることにある。





































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