2014年4月9日水曜日

コローメンスコエ Kolomenskoye ★★★


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世界遺産 1994年
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コローメンスコエ(Kolomenskoye)というのはモスクワ郊外の野外文化財博物館の総称であり、いくつかの歴史的建築物が保護され、1994年には世界遺産にも登録されている場所である。

行き先を確認し、路面電車に乗り込み30分ほどウツラウツラしていると、突然電車が止まり乗客が皆降りていく。運転手に尋ねるがやはり英語が通用せず、とにかくここで終点だと言っているようである。「行き先が表示してあったのに途中で終えるとは・・・」と思いながらも、他の乗客の流れに乗って最寄の路面電車の駅まで向かい、次に来た電車に乗り込む。

そしてしばらくして到着するのがモスクワ市の南東部、モスクワ川の蛇行するエリアに広がるコローメンスコエ。最寄の駅には案内板が一切出ていないので、地図を頼りに歩きながらすれ違う人に聞いて見ると、間違いなく道を進んだところにコローメンスコエがあるらしい。

最寄の駅からコローメンスコエの正面入り口まで軽く20分の距離。この巨大な都市スケールに少々慣れてきたといっても、いったいこの街に住む人は一日どれだけの距離を歩いているのだろうかと思わずにいられない。

どうやら入場は無料のようで、入り口脇の案内板を見てみると、目的の教会までは更にかなりの距離を歩いていかなければいけない、広大な自然公園となっているようである。もうすっかり慣れた諦めの気持ちを抱きながら、一歩一歩鼓舞するかのように緩やかな草原の道を進む。

丘の上に到着するとロシアの木造建築に特徴的なタマネギ状の屋根を持ったスパスキエ門が見えてくる。その前には学校の遠足か、小さな子供達の姿が見える。このスパスキエ門は離宮の裏門として使われていたようで、ここを潜ると平坦な場所にでて、左の前にカザンの生神女聖堂(1650年)が見え、右手にはかつての建物の遺構が残っている。

まっすぐに整備された心地の良い並木道を進む。前には感じの良い老夫婦がゆっくり歩いている。こんな天気のいい日に、生涯を連れ添った夫婦でゆっくりと美しい公園を散歩するのはきっと素晴らしい者だろうと想像しながら、先を進む。

スィートヌィ・ドヴォール (満腹の館)を潜ると今度は目の前の風景か一気に下がり、その先に素晴らしい蛇行するモスクワ川が目に飛び込んでくる。そして視線を右にパンするとそこにはヴォズネセーニエ教会(主の昇天教会)(1532年)。これこそがこのコローメンスコエのイメージといってもよい美しい白の教会。

ここまで来るとコローメンスコエというのが、ある建物一つの名前ではなく、あくまでもこの地域の名称であるというのが理解できる。それにしてもこの風景。ここまで歩いてきたのがやっと報われる思いにさせられる。なだらかな傾斜に美しい木々が並び、素一面の大平野が広がっている。そこに子供達が思い思いに駆け回っている。

この場所にコローメンスコエが築かれたのはその防御に適した地であるだけではなく、恐らくこの素晴らしい風景を毎日眺めることが出来るからでもあるだろうと思わされてしまう。

そしてこのヴォズネセーニエ教会(主の昇天教会)。ロシア正教会の教会であるが、通常見られるようなタマネギ上の屋根は採用されておらず、天を突くような八角形の尖塔となっており、しかも真っ白に塗られたその色によって様々な意味を漂白された建物に感じられる。一見、鐘楼かの様に見えるが、あくまでも教会だという。

美しい緑の草原の中にスクッと立ち上がる純白の尖塔。その対比がまたこの建物の美しさを際立たせているようである。そしてこの教会、入場ができるということで、随分遠くに位置しているチケットボックスにチケットを買いに行き、再度教会まで戻ってくるが、どうも二階への階段は封鎖されている様子。ぐるりと分かりを見渡してもどう考えても入口は無いようである。同じく入口を探している様子のロシア人学生のカップルを捕まえて聞いてみても、やはり良く分からないという。

しょうがないので前に回り、子供達を遊ばせているお母さん連中を捕まえて、英語は伝わらないがチケットを見せて中に入りたいのだけど入口が無いと伝えると、揃って探してくれる。そうすると階段下の半地下となっている部分にある扉が入口のようである。

堅く閉ざされたその扉、ノックをしても返事が無い。暫くノックを続けると、めんどくさそうに扉を開ける「ギィ」という音と共に、中からおばあさんが出てくる。チケットを見せて中に入ると、この建物についての展示を簡単に見学する。

のんびりしたモスクワ川沿いの広大な風景を暫く堪能し、体力を少し回復させて再度長い長い道のりを戻ることにする。














スパスキエ門


スパスキエ門


カザンの生神女聖堂
スィートヌィ・ドヴォール (満腹の館)

主の昇天教会
スィートヌィ・ドヴォール (満腹の館)









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