2014年4月8日火曜日

ユダヤ人博物館 Jewish Culture Museum (The Garage gallery) 1928 2008 ★★


やはり英語がそれほど共通語として使われていない国においては、正確な情報を得るのが非常に難しい。

モスクワのどこかにメルニコフが1928年に構造家のシューホフの手助けを借りて作り上げたバス・ガレージが、最近ユダヤ人博物館としてリノベーションされているという情報はあるのだが、その博物館のHPがどうやっても英語では見つけられない。

なんとか観光案内サイトなどから情報を辿ってあたりをつけて、そこを地図に表示しながら目指すことにするが、その前になぜバス・ガレージがそれほど重要なのかを見る必要がある。

ここまでにも辿ってきた建築で登場したメルニコフとシューホフ。時代の担い手であるこの二人の登場を必要としたプロジェクトがバス・ガレージ(Bakhmetevsky Bus Garage)。メルニコフのアイデアは、ギアをバックに入れて後ろに走らなくてもよく、常に間向きにだけ走ることで駐車から出ていくまでをできるような動線をもったガレージを作り出せばかなり経済的になるのではというもの。

それが一体どれほどの斬新なアイデアだったのかと今から考えるとかなり疑問符となるが、それは100年近く前の話なので、常識が今とはかけ離れていたのだろうと想像する。そして屋根はシューホフのデザインによる軽い構造。

そしてこのバス・ガレージが長い年月を経て、その空間のフレキシビリティを再発見され、このモスクワの地に関わりの深いユダヤ人の歴史を伝える博物館として再利用されてオープンしたという。

そしてこのユダヤ人博物館。ネットで見ると、ドイツの設計事務所であるGraftがなにやらリノベーションをするようだとニュースになっているが、実際にいっているとこのようにはなっておらず、あくまでも計画のようである。


そんな訳で、少々の不安は残りつつも、ウクライナホテルからモスクワ川沿いを南下し、モスクワにある9つのターミナル駅の1つであるキエフスキー駅を見学してことにする。首都であるモスクワには、様々な地方から乗り入れるターミナル駅が9つ存在する。各地方に向かい、その行き先がそれぞれの駅名になっている。

例えば、、ソ連時代はレニングラードと呼ばれたサンクトペテルブルク行きの電車が乗り付けるターミナル駅はレニングラーツキー駅。そして今緊張が高まるウクライナの首都であるキエフに向かう電車が乗り付けるのがこのるキエフスキー駅。

駅舎が時代の顔であり、そので都市にやってきては去っていく様々な人のドラマが繰り広げられた時代。鉄とガラスで覆われた大きな空間に、一方向から列車が入ってくる。徐々に止まるその姿に、その中にいるであろう待ち人の姿を想像する。そんな都市の玄関である駅舎空間は建築家にとってはやはり見逃せない空間であるので、相変わらずあまり興味を示さないランドスケープ・アーキテクトを外に待たせて中に入り、燦々と日の光の入り込む空間を堪能する。

そこから接合している地下鉄のキエフスカヤ駅のこれまた豪華な装飾を堪能し、ラインを乗り換え目的地へ。しかしどうやら降りる駅を間違えたようで、ひたすら徒歩で移動。30分を過ぎたところでさすがに途中できつくなり、スターバックスで休憩をはさみ、大学エリアの脇についに目的の建物を発見。

かつての煉瓦張りのガレージを改修したプロジェクトとあり、内部はざっくりした大空間。その下にモスクワに来てから初めて見るような現代的空間が広がっている。チケットを購入すると、まずは導入の映画を3Dシアターで見てもらうからと少々待たされ、円形のシアターに入ると、様々な苦難を乗り越えるユダヤの民の歴史がアニメーションで描かれ、モーゼに導かれ出エジプトを果たしていく場面では上空からかなりの水滴が降り注ぎ、椅子も右へ左へと揺れる船の上にいるかのような過剰な演出を与えられる。

やく9分近い映像でかなり身体もぐったりとしてその後ろに広がる展示空間を散策する。ナチの迫害を逃れてきたユダヤ人の一人一人にスポットを当てた展示となっており、日本ではなかなか見られないかなりきわどい映像も使われている。

ミュージアムカフェで長かった道のりを振り返りながらコーヒーで元気を取り戻し、午後のツアーに向けて再度ルートを確認することにする。

























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