2014年4月19日土曜日

南山大学 アントニン・レーモンド 1964 ★★★


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所在地  愛知県名古屋市昭和区八雲町
設計   アントニン・レーモンド
竣工   1964
機能   学校
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建築家がある大学の総合計画、キャンパス計画を行うことは歴史上いくつか見られる。それは建築家にとってほとんど都市計画の様な規模のプロジェクトであるからこそ実現できる、自らの理想の実現に他ならない。学部棟だけでなく、学生寮や教授などの住まう住空間も含め、住・労・学が一体となったある種の都市のビジョンが必要となる

古くはマリオ・パニ(Mario Pani)とエンリケ・デル・モラル(Enrique del Moral)によって設計されたメキシコシティに位置するメキシコ国立自治大学(UNAM)のメインキャンパス。

日本では槇文彦による、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス、いわゆるSFCの計画や、東京電機大学の東京千住キャンパス計画。同じ槇文彦による2007年にアゴラなどのコンセプトを採用し完成したシンガポール理工系専門学校キャンパス。

中国でもプリツカー賞受賞者である王澍(Wang Shu)による2004年完成の中国美術学院象山新校などが知られている。

それらと並び、恐らく国内で一番多く大学関連の建築を手がけた建築家といえばこのアントニン・レーモンドになるであろう。当時若干33歳というレーモン度がはじめに手がけたのは1921年の東京女子大学総合計画。1924年の聖心女子学院 修道院および教室。1960年の国際基督教大学図書館。そしてこの1964年の南山大学総合計画に1968年の上智大学。

どれもキリスト教系の大学なので、多くが仏教徒である日本人よりもキリスト教徒である人に頼むというのが至極自然な流れで、その時に選択肢の中にいたのがレーモンドであったのだろう。

起伏にとんだ豊かな地形に生い茂る多くの緑に囲まれた環境。それを丁寧に読み取り挿入された建物郡。その建築は荒い仕上げのコンクリートと、緑の中でも鮮やかに視界に飛び込んでくるオレンジ色が使われており、全体としての統一感を保っている。

炎天下の元にこのアップダウンを歩くのは汗が噴出してくるが、学生を確保するために便利で魅力の多い都心にキャンパスを確保する大学が多いなか、多感な時期にこのような豊かな自然に囲まれてその後の人生を考える時期をもてるというのは豊かなことに違いないと思いながら地下鉄の駅へを向かうことにする。






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