2014年3月28日金曜日

どうせなら

建築なんていくものはやたらと時間がかかるものである。

大きなプロジェクトであれば、開始から竣工まで数年。下手すれば10年スパンのプロジェクトすらある。

そして残念ながら人生は一度しかないし、与えられた時間にも限りがある。

なので、建築家としてあれもこれもとやることはできない。そして建築家の日常というのは、どんなプロジェクトに関わるとしても、どっちみちとてつもなく忙しない時間を過ごし、日常に忙殺されることになるものである。

なのでどうせやるなら、一度しか選べない建築家としての一生であるならば、とてつもなく自分が美しいとか、かっこいいと思えるものを作るために時間を費やしたいと思う。

あーだこーだと理論武装して生きるよりは、自分がもし一人の建築好きとして、その建築を見に行ってみたいと思えるようなもの、その空間に感動を覚えるだろうと思えるもの。世の中の誰かが、建築は素晴らしいと思えるようなものを作るために貴重な時間を費やしたいと思わずにいられない。

どっちにせよ、ストレスに苛まれ、健康を犠牲にし、家族との時間を代償にして向き合う仕事であるならば、何を言われようとも、距離を置いた時にでも自分がそれに魅了されると思われるようなプロジェクトに関わる方がよっぽどいい。

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