2014年3月10日月曜日

「東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図」 三浦展 2012 ★★


駅前には同じようなスーパー、ドラッグストア、コンビニが並び、同じ表情をした標準化されたハウスメーカーの住宅がならぶ住宅地を抜けてたどり着く自宅。そんな風景に誰も疑問を持たなくなった現代の郊外。

都心からひたすらスプロールし広がる郊外の波。人口が減っているのに、なぜその波は引かないのだろうか?


こんなキャッチフレーズで、若いカップルがほほ笑えむ広告。年収は28歳の夫が215万円、27歳の妻が140万円で、計355万円との設定。大阪の不動産屋の広告のようであるが、ネットで話題になっているようである。

縮小社会に突入した日本。では、いきなり都心から人が減るのかといったらそうではない。では、どこから人が減るのだろうか?それは無理に郊外化を推し進めた、本来的に価値の薄い開発地。

押し寄せた波以上の勢いの引き波でがっさりと数十年のうちに作り上げられた幻想の郊外都市が廃れていく。そうなれば、当然その土地の住宅価格は低下する。しかし、そんな街でも住宅を買おうと思うかどうか?

都市の時代に突入した21世紀。これからは弱肉強食の都市のサバイバルが始まる。生き残りのために、地域の特色、住民が選ぶ場所になるために、必死の努力をした自治体は不断の努力でなんとか人を留めるが、何も魅力がない街は、恋愛と同じく誰にも見向きもされず、誰にも手を差し伸べられることなく、恐ろしくドライにそっけなく、街から人を失い、活気を失い、あっという間に動くことのできない高齢者だけの死に絶える街へと変わっていく。

そんな消えていく郊外はどこであろうかを見ていくことにする。
----------------------------------------------------------
第1章 あなたの街がゴーストタウンになる!
/マンション300万円時代到来!
狭山市内の団地 2LDK、52平米のマンション
390万円 
管理費、修繕積立金、固定資産税
家賃収入 う家賃は4万円以上にしないといけない

/地価は20年で6割減、30年前に戻った

/郊外住宅地がゴーストタウンになる
都心まで電車で1時間かかるような物件には魅力が無い
全住宅のうち14%、約750万戸が空き家

/郊外の物件が値下がりする理由① 女性の社会進出
住宅の価格が下がるのか
女性は専業主婦になることが一般的だったから
長い通勤時間に耐えるのは男性だけでよかった、通勤定期代は会社持ち
通勤時間にさえ耐えればいい
世帯年収が上がるから、もっと都心近くに家が買える

/郊外の物件が値下がりする理由② 人口減少
人口が減少
日本の人口 2050年に9700万人
沢山の人々が地方から職を求めて東京に流入
郊外に移り住んだ、二人の若い夫婦が移住してきて、そこでまた子供を産んだ
仁k脳が増えるのは当然である
結婚をするものが減ったし、子供を産む人も減った

/郊外の物件が値下がりする理由③ 高齢化
高齢化が進み、2040年 36% 65歳以上
団塊ジュニアが60代前半となる2035年

/郊外の物件が値下がりする理由④ 結婚しない団塊ジュニア
未婚者で親元に住む人(パラサイトシングル)の増加
50歳になってもパラサイトシングル

/団塊ジュニアが多い地域は?
近年高層マンションが沢山建設されて、団塊ジュニアが住みやすくなったため
23句無い西側で増加が多い
埼玉県で団塊ジュニア率が高い 

/未婚で親元暮らし(パラサイトシングル)の団塊ジュニアはどこに多い?
パラサイトシングルの人口比率を地図
---------------------------------------------------------
本書のアウトラインを明確にする意味で、なぜ郊外で物件が価格を下げていくのかの理由を挙げていく。かつての専業主婦の幸せな核家族の幻想が通用しなくなった現代。働く場所が都心に集中していることでの通勤時間の短縮欲求。日本全体の人口減少。高齢化社会。未婚化やパラサイト・シングルの増加。

人をライフスタイルによって「選別」し、彼らを数値としてどんな生態を持っているかをあぶりだす統計データ。結婚し子供を持つ家族がどこに住み、未婚でパラサイトシングルがどこに集中しているのか。徐々に都市の格差を暴き出す。

----------------------------------------------------------
第2章 発展する街・衰退する街はどこか?
/発展するのは東急田園都市線? 中央線? さいたま市?

/「横浜東部・京急線」「さいたま市」「下町4区」も発展の可能性
/若い世代はブランド性より文化的な場所を求める

/「郊外の都市化」が望まれている
働く場所、遊ぶ場所、住む場所、将来性がある
郊外は自然も不足しているし、都心らしさも不足している、中途半端な地域
ブランド品よりもユニクロでOKという団塊ジュニアらしい価値観

----------------------------------------------------------
第3章 団塊ジュニア以降の世代はどこに住むのか?
/約半数が今住んでいる地域での住み替えを希望
/郊外に住む女性は地方に引っ越したい
/地域のイメージ
/南武線は活気がある
/住む人、働く人、遊ぶ人の奪い合い
/郊外がゴーストタウンになる危険

----------------------------------------------------------
第4章 団塊世代は親子二世帯同居をするか?
/団塊世代の子や孫が持続的に生活できる住宅地だけが生き延びる
地域にコミュニティ性がちゃんとあるかどうか

/居酒屋か、お茶か
/定年後の団塊世代
核家族が高齢化によって夫婦のみ、さらに好例単身世帯へと急速に「核分裂」

/多様な人々が住む郊外

----------------------------------------------------------
第5章 どういう郊外が生き延びるか?
/郊外で働く時代
郊外の個性
働く場所 
「郊外の都市化」
働く場所が出来ることである
消費の場に過ぎなかった
郊外では男女の役割分担が促進される
「職住の分離」という「空間の分離」が「夫婦の役割の分離」につながるのである

/自治体が若い人を奪い合う時代
働く場所、遊ぶ場所、娯楽の場所、散歩に行く場所、知的な交流の場所、文化を発信する場所などなど、様々な都市的な機能を郊外でも発展させていく必要がある

/職住近接へのニーズは大きい

/第四の消費社会における都市、地方、郊外
それとは違う様々な地方が分立する時代になるのではないか
----------------------------------------------------------
誰もが生きていくためには働かなければいけない。働かなくて生きていけることほどの贅沢はないこの世の中。それならば、どこに職場があるかといえば、良いといわれる職場ほど都心に集中しているのがこの新自由主義経済の現代。

働く場所か、住まう場所か、学ぶ場所か、遊ぶ場所か。街が何を持って人々を引き付けるのかをはっきりさせない限り、住民争奪競争の勝者にはなれない。これは行政単体ではどうしようもなく、町がどのようなビジョンを持って生き延びるのかを街全体として共有していかなければいけない時代に入ってきている。

----------------------------------------------------------
第6章 郊外をゴールドタウンにする方法
/都心は便利になったが、つまなくなった
便利になったが、つまらなくなる

/新しいビルにはもはや魅力はない
自然の魅力 ハーモニカ横丁

/空き家率が40%になり、東京圏に限界集落が増える!
住宅地全体をリノベーションする

/クズの山を宝の山に変えるには、住宅地マネジメントが必要
「住環境マネジメントー住宅地の価値をつくる」
明海大学教授 齋藤広子の提言
「住宅地の再生、本格的に新たなスキームが必要」
時代の変化に耐えうる空間のゆとり、多様な世代が住める多様な居住の場が無く
「働、学、憩、農」
住宅地をマネジメントする主体がいなかった
想定
マネジメントは面倒くさく、かつ儲からないから

/オールドタウンをゴールドタウンへ
居住性の再生、資産価値の再生
変化した時代に対応した機能を作り出していく
空き家は「働く場、学べる場、憩いの場」にし、空き地は農地に転換する。

/空き家、空き地の活用方法
災害時の拠点
カーシェアリングの拠点
職住分離から職住近接、職住一致へ

/市民の力
住宅地マネジメントを行う組織をどうつくるか
----------------------------------------------------------
縮小社会に入った日本では、必死に生き残りを模索する街以外は行政、ひいては国民への負担となるだけである。そういう街には残念ながら、さっさとゴーストタウンとなり消えていく運命を受け入れるほかない。

厳しい時代だからこそ、その中から、リトル東京、リトル中核都市ではなく、その地域の身の丈にあい、現代の流れをしっかりととらえた中での街の未来のあり方を真剣に考え、独自のコミュニティ、住まい方、住居のあり方、住宅価格の設定などを考えて、新しい地域の風景をつくり、その中には子供から若者、現役世代から高齢者まで、みんなが一緒になった集えるような場所が多くある街が、個性を打ち出しながら出てくることだろうと想像する。

----------------------------------------------------------
----------------------------------------------------------

目次
/東京圏調査 調査概要
/首都圏主要鉄道網図

第1章 あなたの街がゴーストタウンになる!
/マンション300万円時代到来!
/地価は20年で6割減、30年前に戻った
/郊外住宅地がゴーストタウンになる
/郊外の物件が値下がりする理由① 女性の社会進出
/郊外の物件が値下がりする理由② 人口減少
/郊外の物件が値下がりする理由③ 高齢化
/郊外の物件が値下がりする理由④ 結婚しない団塊ジュニア
/団塊ジュニアが多い地域は?
/所得、未婚既婚などにより、団塊ジュニアの住む地域が分散
/未婚で親元暮らし(パラサイトシングル)の団塊ジュニアはどこに多い?
/団塊ジュニアの住む地域
/住宅地の将来は団塊世代の老後と死後の問題

第2章 発展する街・衰退する街はどこか?
/発展するのは東急田園都市線? 中央線? さいたま市?
/衰退するブロックの予測には震災の影響あり
/「横浜東部・京急線」「さいたま市」「下町4区」も発展の可能性
/若い女性ほど世田谷でhなく中央線でOK
/買い物は郊外でも十分間に合う
/団塊世代は湘南ブランド若者は下町好き
/若い世代はブランド性より文化的な場所を求める
/「郊外の都市化」が望まれている

第3章 団塊ジュニア以降の世代はどこに住むのか?
/住まいへの満足度
/郊外の住宅地でも住み替え希望は3割以上
/約半数が今住んでいる地域での住み替えを希望
/郊外に住む女性は地方に引っ越したい
/地域のイメージ
/南武線は活気がある
/住む人、働く人、遊ぶ人の奪い合い
/専業主婦のための東急田園都市線
/イメージの横浜に対して、実質の埼玉、千葉は団塊ジュニア向き
/郊外がゴーストタウンになる危険

第4章 団塊世代は親子二世帯同居をするか?
/団塊世代の子や孫が持続的に生活できる住宅地だけが生き延びる
/地域への愛着はあるのか?
/千葉、埼玉で多い地域での交流
/愛着と交流は別
/居酒屋か、お茶か
/都心部よりも郊外のほうが地域との関係が良い
/定年後の団塊世代
/二世帯同居希望が増える
/子どもの出戻りもある
/行政にとっても二世帯住宅はうれしい
/多様な人々が住む郊外

第5章 どういう郊外が生き延びるか?
/郊外で働く時代
/自治体が若い人を奪い合う時代
/ノマドワークの時代
/職住近接へのニーズは大きい
/さいたま市と東急田園都市線沿線の違い
/さいたま市は働きたい地域
/二子玉川の新しい動き
/「第四の消費」から見た都市
/第一から第三の消費社会における都市
/第四の消費社会における都市、地方、郊外
/地域間のサバイバル競争
/ブランド的地域と無印的地域

第6章 郊外をゴールドタウンにする方法
/都心は便利になったが、つまなくなった
/新しいビルにはもはや魅力はない
/リノベーションの時代
/空き家率が40%になり、東京圏に限界集落が増える!
/クズの山を宝の山に変えるには、住宅地マネジメントが必要
/オールドタウンをゴールドタウンへ
/空き家、空き地の活用方法
/市民の力
/市民、企業、行政の協力

0 件のコメント: