2013年10月27日日曜日

北京古代建築博物館 (先農壇) 1532 ★★★


天壇(天坛)脇の北京自然博物館を後にして向かったのは本日のメインの目的地である北京古代建筑博物馆。

この博物館はその名の示すとおり、長い歴史を誇るこの国を支えてきた様々な時代の建築様式、それらを図や写真、模型などを使い、その豊かな歴史を知ることができる建築家にとってはとても興味深い博物館である。

という以上に、その場所自体がとても貴重な場所である。

龍潭公園(龙潭公园)でも触れた様に、北京には九壇八廟(jiǔ tán bā miào)という歴史的に重要な場所を示した言葉があり、その壇の中でも極めて重要だった5つの壇・五壇を天壇、地壇、日壇、月壇、先農壇と言う。

そして最後の壇である先農壇(先农坛 xiān nóng tán)がこの博物館の敷地内に残っている。というよりも、先農壇を整備し1991年古代建築博物館として一般に公開されるまでは、ここはとても神聖な場として、風水都市北京の重要な役割を担ってきたという訳である。

中国語の説明によると

先农坛内的建筑是明清两代逐渐完善起来的。最初的建筑叫山川坛,据《明成祖实录》载:“永乐十八年(1420)十二月,山川坛成。”与此同时还建有太岁坛、风云雷雨、五岳、四海等13座祭坛。嘉靖十一年(1532)建太岁殿。同时还建有天神坛、地祗坛等。

と言うことで、明時代(míng)、清時代(qīng)の皇帝が神を祭った壇であるというが、明時代の首都は元々南京であり、最初の50年を過ぎた1421年に北京に首都が遷都され200年以上王朝が存続する。

先農壇の字から見て取れる様に、農業を国の基盤としていた時代の王朝では、秋にしっかりと収穫を得られることが何よりも重要なことであり、そのために春に豊作を祈り、秋に収穫を感謝する風習が儀式化され、皇帝が行う儀式がこの壇の上で行われるようになる。

そんな訳で、まずは南京に同じことを意図した壇が作られそれは「山川壇」と呼ばれたという。そして北京に都を移した後に同じことを目的として作られたのがこの先農壇であり、その建立は1532年という。

九壇八廟のなか五壇に選ばれなかった残りの4つは?となると

太歲壇(太岁坛) tài suì tán
祈穀壇(祈穀坛) qí gǔ tán
先蠶壇(先蚕坛) xiān cán tán
社稷壇(社稷坛) shè jì tán

となり、その中の太歲壇(太岁坛) tài suì tánはまたの名前を太歲殿(太岁)といい、この先農壇の中に位置し、建築物として中に入ることが出来る。つまり九壇の中の二壇が体験でき、しかも中国建築の歴史と成り立ちを十分に理解でき、なおかつ広い敷地にまばらな入館者というとても静かな環境で見学ができる、とてもお得な場所である。

日本で学ぶ中国の歴史は「殷yān」から始まるが、どうもこの国ではその前の「夏xià」を起源と捉えるようで、建築の歴史も原始時代から夏王朝を経て・・・という説明になっている。

国土の広い中国なので、様々な気候地域にまたがりながら、地形的にも多種多様な場所でその場のゲニウス・ロキに対応するように成熟していった建築の成り立ちが模型などでよく見ることが出来、書籍などで見ている知識が立体を伴ってより良く頭に入ってくる気がする。

特に各時代の建築様式を特徴付ける斗栱(ときょう)の図形とその模型などを見てみると、ドリス式・イオニア式・コリント式と古代ギリシャの様式を決定付けるのもやはり水平と垂直の力の流れを決定付ける交差部の処理の仕方がやはりその時代の建築の形式を決定付けるのは西も東も同じなのかと納得し、決して楽しいものではなかった日本建築史の同じ内容も、今こうしてみると、また別の角度から興味が湧いてくるから不思議である。

同じように北京の胡同で見かける四合院という中庭を囲む建物形式の門の形状を、模型と一緒になって解説していたり、碁盤の目といわれるグリッド上の都市の成り立ちを風水思想と一緒になって解説していたりという図や表を見ていると、いやがおうにもテンションがあがり、期待以上に楽しく、「こういうバリバリの神の視点という都市計画は、経済ばかり追い求めてきた上海にはありえない風景をつくってきたんだな・・・」とすっかり北京人気質になりながら次から次へとカメラを向ける。

恐らく中国語で建築の歴史、風水などの本を数冊買えば同じようなことは解説してあるのかもしれないが、これだけ立体物に囲まれて理解を深めることができるのはやはり博物館の醍醐味であり、それがこうした贅沢な空間に囲まれているというにもまた悠久の都・北京の懐の深さであろうと思わずにいられない。

これが15元の入場料で体験できるなら、次は妻も連れて是非ともゆっくり壇の上で空を見上げながらかつての皇帝の視線に思いを馳せるのも悪く無さそうだと思いつつ、そろそろオフィスに向かうことにする。









































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