2013年3月4日月曜日

「海と大陸」エマヌエーレ・クリアレーゼ ロシア 2009 ★


イタリアと言えば、イメージするのはローマやミラノ。そしてベニスやフィレンツェ。そんな中心はいわば日本の東京や大阪。日本の地方が疲弊しているように、どこの国でもまたグローバリゼーションの波にさらわれて、情報だけはフラットに向かうが、中心と周辺の格差は広がるばかり。そんな周辺に更に大きな視点での周辺が飛び込んだくる物語。

イタリアの南の島といえば、シシリア島。地中海の向かいに見えるのはアフリカ大陸。7月のバケーション・シーズンになれば、ヨーロッパ中の人間がこの地中海を目指して南下してきて、思い思いの夏の過ごし方をしていく。

そんな目的地であるシシリア島のさらに離島での話。

どこの世界にもある北と南の格差。ローマやミラノといったピカピカした都会の生活とは程遠く、潮水と共にある、ドロドロと粘性をまとった島の生活。その中で日常を生きる一人の若者。

そんな彼に周辺を意識づけるような、同年代のおしゃれな若者が北から島へとやってくる。それど同時に南から機会を求めて世界を隔てるこの地中海を渡ってくるアフリカの人々。命を賭して密航してくる人々が波にさらわれ、命からがら上陸した母と子。そして産まれる新しい生命。

自分が生きること。誰かを生かすこと。誇りを捨てて生きるよりも、自ら信じたことをやり遂げる。誰かが決めた中心が正しいわけでも尊い訳でもなく、自分の考え方次第で、自分が立っている場所がいつでも中心に成りえること。

そんなことを揺れ動く若者の視点と共に描き出す一作。

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2011ベネツィア国際映画祭審査員特別賞
2011 アカデミー賞外国語映画賞イタリア代表作
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