2012年2月6日月曜日

ひたすらに面白いことを

知り合いの先輩建築家の事務所に久しぶりに伺い、一つの話題で盛り上がる。

その人が非常勤で教えている大学の卒業設計展を見に行った感想で、最近の学生はあまりに可哀そうだと。

20代の一番元気のある時に、本当に自分が楽しいと思える事に情熱と時間を費やすべきなのに、今は社会がどうのだとか、収縮の時代だとか、震災復興や死にどう接するかなど、あまりにも暗いテーマばかり。

どうしようもないことは、どうしようもない世界にしてしまった大人が尻拭いすべきで、せめて大学の最後の時間を捧げる卒業設計くらいは、コンセプトや理論なんか破綻してしまっていても、底抜けに明るく、自分だけでもいいから楽しく、なんだかわからないけどカッコよく、今は誰も理解できないがとてつもない可能性を秘めているのではと思えるもの、誰もがそんな作品を見たいと思っている。

それを時代の空気がそう言わせないだけで、その空気が学生を押しつぶしている。外の世界に出れば、否が応でもその空気の中で生きていくのだから、せめて大学の敷地にはその悪しき空気が入り込まない様にしてやるのが、せめてもの教員の務めなんだと。

鼻息荒く捲し立てるその建築家に、自分が楽しいと思えないものにどこの誰が素晴らしいと共感してくれるのか。そんなことを再認識させられ、否定するよりもより面白いものを考え、考え込むよりは手を動かす。そんな時間の過ごし方を積み重ねようと再決意。

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