2010年5月25日火曜日

「ふしぎの国のアリス」 ルイス・キャロル 集英社文庫 1992 ★★
















「寿限無、寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末・・・」

地下鉄に乗っていると、小学生の兄弟がクスクス笑いながらこんなことをを口ずさんでいる。
これがイギリスのチューブならば、

「タートルのトータスがトート・アス・・・」

という言葉遊びになるのだろうかと思いを馳せる。


「アリス・イン・ワンダーランド」ではなく、不思議の国のアリスの方。
アバターを越える人気ぶりだとかいうので、これはと思い久々に読んでみる。

ミヒャエル・エンデばりの深いメッセージなどはなく、ただただへんてこな事が続く子供の妄想。解説でもあるが、妄想をファンタジーに昇華させる細部のディテールにこめられたリアリティ。

キャロルが即興で姪っ子に聞かせた、文字通りの「地下の国のアリス」という話に脚色を加えて完成した不思議の国。自身が吃音持ちということで、それにユーモアを付け加えて、子供のイマジネーションそのままの童話へと形を変えて世界に広まるアリスの冒険。

しかしアバターには遠く及ばないと思うのは、薬を飲んでも無いのに大きくなった自分の時間のせいだろうか。

わかったふりをするよりは、これはなんだ?と思う方がましという解説の阿乃田高の言うとおり、子供にしか見えない世界があるということだろう。

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